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第40回ニコムセミナー「気象台・気象予報の舞台裏 ~ 天候はどこまで予測可能なのか!? ~」

講師
一般財団法人 日本気象協会 中部支社 平井 章仁 氏
日程
2009年10月20日
時間
18:30~20:00(セミナー)、20:00~21:30(懇親会)
会場
費用
セミナー 1,000円、懇親会 1,000円
定員
30名

昭和34年9月26日紀伊半島に上陸し、
東海地方を中心に大きな被害を及ぼした伊勢湾台風は、
明治以来最大の被害を出した。
そして、今年は、伊勢湾台風50年の記念事業として
東海三県一市が共同で事業が行われているが、
そのような中で伊勢湾台風並みの勢力をもった台風18号が上陸しようとしている。
まさに当時を思い起こすものがあります。
また近年では、異常気象発生の頻度が温暖化の進行とともに
上昇傾向にあると言われています。
年々、予報が困難になっていく中で
気象庁・気象台ではどのような取組みがなされているのでしょうか。
今回のセミナーでは、気象予報官として活躍された平井氏より
現場の状況や天気予報をご解説いただき、予報の難しさをご講演いただきます。

【講師プロフィール】
一般財団法人 日本気象協会 中部支社
平井 章仁 氏


昭和23年 名古屋市生まれ
昭和47年 名城大学理工学部卒業
昭和58年 岐阜地方気象台 技術専門官
昭和61年 名古屋航空測候所 予報官
平成元年 津地方気象台 予報官
平成7年 名古屋地方気象台 予報官
平成14年 東京航空地方気象台 予報官
平成15年 岐阜地方気象台 技術課長
平成18年 前橋地方気象台 次長
平成19年 横浜地方気象台 次長
平成21年 退職 (現在、気象協会勤務)

【講演内容】
■ 天気予報の歴史
・古代の天気予報(紀元前~)
雲等の天気パターンから
・観天望気
・天気俚諺
・地域にいる天気予報の達人
・古典的天気予報
気圧計の発明(17世紀初め)
戦争により発達(大航海時代)

■ 天気図の誕生
・ブランデス(独) 19世紀初め
・気圧が天気予報の基本
「・・・は・・・のバロメーター」
・観測記録の蓄積と天気図作成
外挿法による予想天気図 日本で最初の天気図・・・明治16(1883年)
日本で最初の天気予報・・・翌年

■ 数値予報とは
簡単に言うと、電子計算機を使って将来の予想天気図を作る方法。
大気の運動は、物理法則に基づいており、
気圧・気温・風などを方程式を用いて解く方法。
<ビヤークネス(ノルウェー)が1910年代提唱>
<リチャードソン(英国)の失敗:1922年、
6時間先予報を試み、大失敗。
64000人、3200格子点、12時間後> 
計算機で大気の流れを予報する!!
例えるのであれば、蚊取り線香の煙がどの流れるのかを予報することと同じである
数値予報の基本の方程式では次のようなものがある
①流体の運動方程式
②熱力学方程式
③気体の状態方程式
④連続の式
⑤水蒸気量の保存の式 こうした数値予報の結果を、
網の目のコウシ点に当てはめ天気を予報する (イメージ図) 
気象台・気象予報の舞台裏

■ 数値予報モデルの限界
①分解能からくる限界
モデルで表現できる現象の限界は、格子間隔の5~8倍。
20キロ格子では、100キロ以上しか表現できない。
②地形からくる限界
地形が原因によって生じる現象も、100キロ以下は現実的に表現は無理である
③初期値に含まれる誤差からくる限界
観測値に誤差が含まれていたり、観測網が粗い。(ゾンデ、アメダス・・・)
④物理過程の不完全さからくる限界
⑤誤差の成長からくる限界
大気のカオス的性質⇒アンサンブル予報
アンサンブル予報とは? 大気はカオス的性質を持っている。
初期値に含まれるわずかな誤差が予報時間とともに非線形的に成長するため、
予報誤差にバラツキが生じる。
そのため、初期値に意図的にわずかな誤差を与えた複数の初期値による多数の予測計算し、
その結果から平均や偏りの情報を抽出する手法である

■ 観測機器 気象台・気象予報の舞台裏

■ 最後に
将来の天気予報について、飛躍的な精度向上は難しい。
特に、細かな雨量の予測は今後の重要な課題。
天気予報の現場(人)は、「気象学的がん」に侵されないように、
人間の能力・判断力を高める必要がある。

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